部誌7号掲載作品
タイトル 『○○君のバイトな日常』
作者名 福島
| 読者の皆さんは、これまでにアルバイトをしたことがありますか? このお話は、あるバイト店員の一日を例に挙げて、まだアルバイトをしたことのない人に、『アルバイト』がどのようなものか、分かりやすく教えるためのお話です。また、バイトをしたことのある人も、他の人がどれ、どのように働いているのかということを、比較の対象として見てもらうための道徳的なお話でもあります。 さて、その比較の対象として選ばれたのは、某○ーソンで働く一人のバイト店員さん。この○ーソンは駅前・中規模・半径500m以内に他のコンビニ店及びスーパー等一切なしという好条件に恵まれた店であるため、『コンビニ』のバイトがどのようなものか、分かりやすく伝わると思います。 それでは、この店で働いている、一人のバイト店員の姿を見てみよう。 〜〜陳列編〜〜 22:00 ピーンポーン♪ 「っしゃーあせー」(訳:いらっしゃいませ、こんばんは) おやおや?折角お客様が入ってきたというのに、なんだか随分とぶっきらぼうな挨拶だね。 「すみません、トイレお借り出来ますか?」 「どうぞ」 場所の説明ぐらいしてあげようよ!ほら、お客さん迷っているじゃないか。 がさがさ。 ああ、気にせず陳列作業しているよこの人。 あ、そうこうしている内に先のお客さん、自力でトイレの場所らしき扉を見つけたようだね。早足でそこに向かっているよ。よかったよかった。 さて、ところで読者の皆さんは、『前進立体陳列』という言葉を知っているだろうか?コンビニに限らず、スーパーやデパートなどに勤めている者ならば誰もが一度は耳にしたことがある、有名な業界用語なんだ。 『前進立体陳列』――略して『前陳』とは、新しい商品は棚の奥に、賞味期限が切れそうな古いものはお客さんに取ってもらいやすいよう前に出し、且つパッと一目で目に付き、お客さんの目に綺麗に映るよう立体的に並べるという商法の初歩的技術なんだ。 良識のある店員ならば誰もがそれに従い行っているんだけど、先ほどから見るにこの男、全くそれをしていないね。 「商品の量多過ぎやっちゅうねん。こんなパンパンに入れ取ったら絶対に誰も買わへんわ」 おやおや。しかも仕事中に独り言まで言ってる。 「二度とこんだけの量入荷せえへんよう、商品を期限切れだらけにしてやるわ」 言うことがいちいち穏やかじゃないね。 でも手際はいいね。あれだけカゴの中にあった商品が、あっという間になくなったよ。カゴの中にはまだ商品が残っているけど、それらは全てどうやっても棚の中に入りきらなかったものだから、仕方なく奥の倉庫に戻すんだね。 カランカラン♪ カゴを持ちながらスタッフ専用の倉庫へと戻ってきた店員さん。 おや?何故だか少し機嫌が悪いね。 そうか。きっと、扉を開けるたびに逐一鳴るカウベルが鬱陶しいんだね。 なんにでも不満をもつ人だな。こんなんで社会に適応してるのかなあ? 「ただ今〜」 あれ?誰に向かって話し掛けているのかな? なんだ、倉庫の奥でジュースの出し入れ作業をしている、もう一人の店員さんに声をかけていたんだね。 現在の日付は九月の上旬。今年の秋は残暑が厳しかったため、ジュースがよく売れるんだね。ほら、ジュースを陳列している店員さんの足元に、大量の空ダンボールが置かれてあるよ。 「おう。陳列終わったか?」 「ンな早く終わるかぼけー。やっとラーメン終わったとこじゃ。今からおかしに移る」 働きすぎて疲れているのかな?ちょっと言葉遣いが乱暴だね。 「遅ッ!ちょっとやる気あんのー!?」 「っさい雑魚が!お前の持ってるジュース一本寄越せや!」 あれあれ?そのジュースは店のものだよー。勝手に盗ったら怒られちゃうよー。 「アホか!金出して買え!」 よかった。どうやら、もう一人の店員さんは良識のある人みたいだね。 「チッ!この真面目子ぶりっ子野郎が」 ちょっとちょっと!いくら思い通りにいかなかったからって、スタッフルームで唾吐いちゃ駄目だよ! 「ほな行ってくるわ」 ラーメンを棚に戻して、代わりにおかしをカゴの中に詰めて出て行く店員さん。なんだか機嫌悪そうだなあ。 ピーンポーン♪ ピーンポーン♪ ピーンポーン♪ ピーンポーン♪ 「っしゃーあせー」(訳:いらっしゃいませ、こんばんは) 「っしゃーあせー」(訳:いらっしゃいませ、こんばんは) 「っしゃー」(訳:いらっしゃいませ) 「っしゃー」(訳:いらっしゃいませ) なんだか段々、○ントニオ猪木の物真似みたいになってきたな。 ほらほら。『店長』の札をつけた人が近づいてきたぞ。 「○○君―、挨拶は接客の基本なんでー、もっとこうー、丁寧に言ってくれますかねー?」 ほーら怒られた。 「……」 無視してるよこの店員!店長の言葉を無視して黙々と陳列作業をしているよ! 「あのー、返事してもらえませんかねー?」 「店長、レジお願いしまーす!」 「……」 最後にチラッとだけ○○君を見て、無言でレジに戻る店長さん。大変そうだね。 さて、その○○君は……と。もう倉庫の中へと戻ってるね。 「おー。ちょっと店長に怒られたってー」 先ほどの出来事をジュースの陳列作業をしている店員さんに話す○○君。なんだか反省しているようには見えないなあ。 「何したん?」 「挨拶してたら怒られた。『もっと丁寧にやってくれませんかねー』とか、バリきもい」 え?店長が悪かったの? 「そう言うなって。とりあえず店長に従っとったら間違いないねんから」 「いや、それはあかんな。俺は自分の仕事にプライドを持ってるから」 え?プライド持ってたの? 「んじゃ、また陳列行ってくるわ」 「おう」 大丈夫かなあこの店員さん。ちゃんと挨拶しなきゃ駄目だよ。 ピーンポーン♪ あ、ほら!また新しいお客さんが来たよ! 「……」 今度はお客さんまで無視してるよ!ていうか不貞腐れてるよこの店員! 〜〜レジ・商品廃棄編〜〜23:00 さて、気を取り直していこうか。次はレジ・商品廃棄編だ。ちゃんと仕事するのかなあ? 「っしゃいませこんばんわー」 ピ。 「198円が1点―」 ピ。 「98円が1点―」 ピ。ピ。 「98円が2点―。計4点で517円になりまーす」 チャリチャリ。 「500と20円からお預かりしまーす3円のお返しでーすありがとうございまーす」 ……まあ『事務仕事』って感じだけど、レジ打ちは特に問題はないかな。じゃあ次は廃棄だ。 この○―ソンでは、毎日朝・昼・晩三回に分けて商品の廃棄をするんだ。とはいっても朝と昼に廃棄するのは、痛みやすいおにぎりだけ。後のパンとかデザートとか飲み物とかは全て深夜の人が捨てるんだ。 既に時間は23:20。先ほどまでレジ作業をしていた店員二人(夕勤)はもう帰って、今この場にいるのは○○君と、先ほどジュースを並べていた××君と、店長の3人だけ。店長は基本的に裏の倉庫でコンピューターを操っているか休んでいるかしているので、○○君と××君の二人だけで頑張らなければならないんだ。 「××―。俺パンとデザート捨てるわ」 「んじゃ俺おにぎりとサンドイッチな」 「客が来たらレジ打ち任すし」 「あいよ」 役割分担を事前にきちんと決め、滞りなく作業を進めていく店員二人。意外にもまともだね。これはもう問題ないかなー? ――おや?パンをカゴに詰め終えて、デザートの廃棄に回っている○○君の様子がおかしいぞ? 「なあ××。この二つめっさ旨そうちゃう?」 「あ?フルーツタルトとパイシューか。それ旨いで多分」 「豊作豊作」 なんだろう?まるでぶどうかいちご狩りにでも来ているかのようだよ。 「休憩入ったらゴミ漁ろうぜ」 「いいねー。おにぎりも新商品出てるし、ちょっと持って帰ろうぜ」 こらこら君達!廃棄物は持って帰っちゃ駄目だよ! 〜〜搬入・A編〜〜0:35 目の前にある○○○駅の最終電車が駅に着くこの時間帯。この『駅前○―ソン○○○店』に来るお客さん達は一斉にその姿を消し始めるんだ。 そしてお客さんがいなくなると同時に、また新たな仕事が彼等に課せられた。 「おねがいしまーす!」 威勢のいい声と共に入ってきたのは、青い服を着たどこぞの業者さん。事前に店員が玄関前に出しておいた台車を使って、商品が詰まったオリコンを幾つも店の中へと運んでくる。 その数、個数にしておにぎり500強。お弁当50強。サンドイッチおよそ80。パンおよそ100。ジュース(紙パック)300以上! これらをたった二人で検品して、棚いれして、しかもお客さんが来たらレジに行かなきゃならないだから大変だ! しかしそこは腐ってもベテラン。お客さんの相手をしながらわずか30分でおにぎりとお弁当とサンドイッチを全て並べ終え、残りのパンの処理に向かっているよ。 ××君はというと、そろそろジュースを並べ終えるところ。これだけ聞くとおにぎりとお弁当とサンドイッチを並べている(お客さんの相手も全て担当している)○○君の方が仕事が速いように聞こえるかもしれないけど、実はおにぎりとかと比べて重たいジュースは並べ難いため、この時間でジュースを終えられる××君の方が仕事が速いんだ。あ、言い忘れてたけど、検品も××君が全部やったんだよ。 「××―。今日パンめっさ多いぞー」 「秋はいつもンなもんやって。冬になったら普通に入りきらへんぞ」 「なあ。この△いカレーパンって全然売れてへんやろ。なのに何故かいつもめっさあるよな」 「店長の趣味やろ」 「休憩時間中、店長が△いカレーパンを買ったところて見たことないぞ。ていうかいいんか?店長が趣味で入荷して」 「店長の店やねんからええんちゃう?それゆうたら阪◎タ◎ガース◎ップなんて、それこそ客に売れてるとこすら一回も見たことないぞ。同じ入荷し過ぎでも、プ▽野▽▽ップの方はなんぼかさばけてるけど」 「ああ。あれはまだましレベルだよ。なんにしてもこの店、旨いものなんて何一つ置いてないけどな」 「ははは」 おーい君達。お客さんに全部聞こえてるぞー。(店長にも聞こえるぞー) 〜〜掃除・洗い物編〜〜1:15 さて、次は掃除・洗い物編だ。 片方がFFを載せてあった食器やら肉まん入れてた棚やらおでん入れてた箱やらを綺麗に掃除して(ちなみにお客さんの相手もこっち)、もう片方が店内の掃除をする。 今回は××君が洗い物、○○君が店内の掃除をするらしいね。 さて○○君、まずはデッキブラシもどき(新型ほうきのでっかい版)を持って、店内を大まかに掃除し始める。 柄の部分に顎を乗せた、やる気のない素振りはご愛嬌(既に注意する気なし)。 カウンターの中は勿論、新聞やかごをどかしてちゃんと隅々まで掃除するのは基本中の基本。おっと玄関にある「welcome」の敷物を店の外に出して、その下にあったゴミまできちんと取ることも忘れずに。 7分ほどして全て掃き終わったら次はちりとりの中にゴミを入れて、デッキブラシは清掃用倉庫の中へ。 続いてダスター。ちなみにダスターとは、「ダスタークロス」という特殊な紙をくっつけて地面に擦りつけるとあら不思議、地面についているゴミが全てそれにくっつくという優れもの。 勿論隈なく掃除する。 2分。瞬殺。 続いてモップ。 このモップがけにより、店内についた黒い傷跡のような足跡を消し、更に床に艶を取り戻させる。この掃除中最重要といってもいい作業で、その店が綺麗かどうかは、その店に優秀なモッパー(モップをかける人)がいるかどうかによって決まるといっても過言ではないんだ。 「モップ……だるいわー」 「おい○○!店ン中びちゃびちゃにすんなや!」 ○○君はこのモップがけが下手だった。 どのくらい下手かというと、「それじゃ意味がないからやり直せ!」と店長に言われたほどで、言われたその日○○君はその忠告を無視して次の作業に移ろうとして、深夜の一時過ぎ、キレた店長により店の外へと追い出されたんだ。 「俺が○○チなら『とりゃあ〜!』とか言いながら恥ずかしげもなくダッシュで店内を駆け回るのだが」 「おい何の話してんのか知らんけどキモいからやめとけや」 「だ〜る〜い〜」 「なめとんのか!」 ……モップ、15分。 最後にパッフィングマシーン。これは刃を円状に回して床を浅く削り取り、床を滑らかにする機械なんだ。これにより更に床は艶を出し、『床が照かる』という現象までも巻き起こすんだよ。 ヴヴイィーーーーーーン。 「××―。この辺もう照かってるかー」 「おう。まあええんとちゃうか」 「今なんふーん?」 「1時40分。俺もうすぐ終わんぞ」 「げ。ヤベえ」 彼等が今焦っているのは、店長に「深夜の休憩時間は2時15分から2時30分まで(固定)」と言われているからなんだ。ちなみに何故そういう決まりが出来たのかというと、「10分しか休憩していませんでした」と言いつつ30分以上休憩していたり、忙しい時間帯に店長一人に押し付けて二人とも休憩したりする極悪人が二人いたからなんだ。 「焦ってやったらまた店長キレんぞ!」 「っさいボケ。あのクソ野郎がどう言おうと知ったことあるかい」 ちなみに店長は今トイレ掃除中。 おにぎりやサンドイッチやパンがある棚の通路と、レジ前の通路は特に人が通りやすいため、特に丹念にやる必要があるんだ。 裏を返せばそこさえ綺麗ならば大抵誤魔化せてしまうため、後の通路は手抜きでもモップさえちゃんとしておけばあまりバレないんだ。 「――っしゃ終了!ちょっとええ加減にし過ぎたかもな!」 「ええんちゃう?こんだけやれば十分やで」 なんだか手抜き工事している建設員みたいなこと言うなあ。 「○○―。店長に言って休憩もらおか」 「その前に夜食買おうぜ」 「15分しかないからあんま食われへんな」 「まあどうせ廃棄食うから、買わんでもええねんけどな」 「アホか!○―ソン店員は必ず店で夜食買わなあかんのじゃ!」 「いつ出来たんだよそんな決まり」 それぞれ夜食を買って、15分間の戦士の休息。お疲れ様―。 〜〜インターミッション編〜〜2:30 「あーだる」 「さあ頑張ろか」 休憩が終わって、また戦地へと赴く戦士達の次の仕事は―― 「3時までなんもないけどな」 「休憩の時間帯がめっさ中途半端やからな」 ……だ、そうです。 〜〜搬入・B編〜〜3:00 「おはようございまーす」 さて、3時になって、再度やって来た業者さん(前のとはまた別)。今回は○崎パンとデザート系オンリーということだけあって、比較的楽な搬入だ。(それでも個数にしてみれば100を優に超える数だけど) ピ。ピ。ピ。ピ。ピ。 一人が片っ端から検品していく一方で、検品済みの商品を次々に並べていくもう一人の店員さん。ナイスコンビネーション! 「おーい××。棚ン中入りきらへんぞ」 「押し込め!」 「あいよー」 ぐいぐい。 パン! 「あ、なんか今ええ音した」 「パンだけに……」 「あん?」 「なんでもない」 「えっか。上に積んどきゃわからへんやろ」 「ちゃんと店長に事情説明しとけよ!」 「はーめんどくせ。入荷し過ぎやで」 「おい!ちゃんと前陳してるか?」 「え?」 「してへんやんけ!全部やり直せ!」 「ちくしょー覚えてろ」 ××君……。君が最後の良心だ。 〜〜搬入・C編〜〜3:15 「おはようございまーす!」 先の作業が終わるのとほぼ同時にやってきた、最後の業者さん。 「これ、お願いします」 そう言ってレジ内にいる○○君に渡したのは入荷商品の一覧表と、今回入荷するオリコンの数とダンボールの数。ここで○○君がすることは、入荷商品の一覧表の隅にハンコを押すこと。 「ゲ」 おや?なんだか○○君がおかしな声を出しているぞう。 「ダンボール97オリコン20……今回117もある」 ちなみにオリコンとはプラスチック製の巨大な箱のことで、中にはダンボールやら袋詰めされた商品やらがたくさん入っているんだ。 「お願いします」(by客) 「……っしゃいませこんばんわー」 鬱になりながらレジ打ちをする○○君。どんな時でも接客はちゃんとしなきゃ駄目だよ。 バンバンバン。 レジ打ちが終わると同時に急いでハンコを押す○○君。そしてその後、ダッシュで入荷された商品の元へと急ぐ。 ピ。ピ。ピ。ピ。 そこでは既に××君が検品を行っており、既に今入っている第一弾の検品を終えようとしていた。 「おう。数なんぼやった?」 「117」 「はあ!?」 「あかん。こら急がなヤバいで」 そう言いながら商品を抱え、それぞれのブロックに置いていく○○君。 ピーンポーン。 そうこうしている内に、業者さんが第二弾を持って来た。 「とりあえず検品し終わったダンボール持ってっといて」 「あいよ!」 搬入・C編で来る商品は、カップラーメン・ジュース(缶)・酒・つまみ・駄菓子・和菓子・栄養ドリンク・家庭用品などなどである。特に多いのがジュース(缶)と家庭用品。ジュース(缶)は店長がしてくれるけど、後の商品は全て○○君と××君の二人でしなければならない(勿論レジ打ちも)。その忙しさたるや、搬入A・Bの比ではないんだ。 ピ。ピ。ピ。 バタバタバタ。 ××君が検品し、○○君が各ダンボールをブロックごと(スナック菓子置き場やインスタントラーメン置き場)に運んでいく。残ったジュース(缶)類は台車に載せたままがらがらと裏まで運んで、店長に任せる。次までに余裕があれば、オリコンを開いて中身を一つずつ検品していく。 これらを繰り返すこと、およそ十分―― 「これで最後でーす!」 業者さんの手から最後の台車が届けられる。 ピ。ピ。ピ。 バタバタバタ。 「おい○○。ダンボールの数97で合ってるか?」 「合ってんで!」 「店長!数OKです!」 「あ、はい」 「……くそったれ!一人平和そうな声上げやがって」 「おい○○、店長に聞こえんぞ!」 うーん。相変わらず○○君は無駄に怒りゲージを上げているね。 さて。ダンボールを検品し終わったら、次はいよいよオリコンの検品に移る。××君が検品している間に○○君はインスタントラーメンを全て並べ終え、ラーメンの余りを裏に入れて整理し、残りのダンボールをそれぞれ棚の中へと入れる。 「引越しでもするみたいやな、このダンボールの数は」 「検品終わるまでにダンボール全部片しとけよー」 「無理」 「安心しろ。商品そのものの数がめっさ増えてるからまだまだ検品に時間がかかる」 「4時までに終われそうか?」 「厳しいな。あー腰痛いわー」 「やり過ぎやろあの馬鹿店長」 ちなみに現在店長は裏でジュース入れに励んでいます。 「なんとかして5時までには終わらしときたいな。FF(ファーストフード)と肉まんはとにかく、おでんは時間がかかり過ぎる」 「レジ点検もせなあかんしな」 「……よっし検品終わった!ダンボール全部片付いたか?」 「もう終わる。家庭用品とこやっといて」 「あいよ」 『シーター!!』 突如店内に聞こえてくる叫び声。なんだろう? ああ。Loppiから流れてきた音か。 「おい○○!シータシータうっさいぞ!」 「なんや喧嘩売っとんのか」 「しかしこんだけ聞いてると観たくなってくるよな」 「確かに洗脳される」 「てか観たけどな。家で」 「あれ?『○空の城ラ○ュタ』買ったん?」 「誰が買うかばか高いのに。昔録画したビデオがあったからそれを観ただけじゃ」 「せやんなー。金曜ロー○ショーでさんざん放映されてたのに、今更高い金出してDVDで買うメリットなんてあんまないよなー」 「まだ『○と○尋の○隠し』は買おうかなと思ったけどな」 「よっしゃダンボールおーわりっ!次栄養ドリンクでも片付けましょうかね」 「あー、栄養ドリンクと言えばさ――」 店の中にいるお客さんに気にせず、楽しそうに談笑する二人。それでいいのかなあ? 「んじゃ裏行って来るわー」 「おー」 入りきらなかった栄養ドリンクをカゴの中に入れて、がちゃがちゃと鳴らしながら歩く○○君。なんか扱いが乱暴だなー。 カランカラン。 ベルを鳴らしてスタッフルームに入る○○君。巨大冷蔵庫内に入ろうとすると、そこにはジュースを並べている店長が。 「チッ」 駄目だよ○○君。舌打ちなんかしてカゴを放り投げちゃあ―― ――って!栄養ドリンクが入ってるのにそんな乱暴に放ったら…… ガチャアン! ……あーあ……。 「どうしましたあ?」 頓狂な声を上げながら近づいてくる店長。なんだかヤバそうな予感……。 「なんでこんなことになったんですか!?」 壊れた栄養ドリンクの瓶を指差しながら激しく事情の説明を要求する店長。そりゃあ怒るよね。 「すみません」 流石に顔が青いね。大丈夫だよ。きちんと誠意を持って謝ればきっと許してもらえるよ。 「いやとりあえず、なんでこうなったのか説明してもらえますか?」 「説明……」 ほら頑張って! 「落としたらこうなりました」 頭悪いよ○○君! 「いや、だからなんで落としたんですかねえ!?」 ほら!店長もっと怒っちゃったじゃないか! 「少し……疲れてて」 「疲れててって……」 「今日はいつもより商品の数が多かったから、焦ってたんです」 だからなんで開き直ってるの!? 「確かに今日は商品を少し多めに入荷しましたけど、○○君ももう長いんですから、そんなことぐらいでミスされたらうちとしてはどうにもなりませんよ!」 ああ、店長も頭に血が上ってよくわからない日本語を喋っているよ。 「すみません」 ああ、なんかふてぶてしい態度で謝ってるよ。 「別に疲れてたら帰ってもいいですし、やる気がなかったら辞めてもいいんですよ」 ホラ早く謝って! 「あーそうですか。ほな辞めますわ」 え? 「そうですか。それじゃもう退勤してくれますか?」 「あーわかったわかった」 あれあれ? 「お金は明日の4時に来てくれたら渡しますんで、お疲れ様でした」 「はいはいお疲れ。後頑張ってね。んじゃ」 おーい。 カランカラン。 「おい○○遅いぞ!てかなんで制服脱いでんの?」 「××。俺ここ辞めることになったから。後は任せた」 「は?」 …………。 「ほなさいなら」 「え?ちょっとおい!」 ……本当に帰っちゃったよ……。 道徳的なお話……のはずだったんだけどねえ。いや既に崩壊してたけど。 ピーンポーン。 あ!○○君が帰ってきた! 「チャリキー忘れた」 …………。 えー……。このお話が、なんらかしらの役に立ったでしょうか?もしもコンマ数mmでもお役に立てたならば光栄です。 では、さようならー。 完 *教訓:お金を貰っている以上は常識的な行動をとりましょう |
あとがき
| 身近にいるとある人物を対象にして書いたお話です。 対象が悪かったため話も最悪です。まあなんらかしらの役に立てれば本望です(参考にされたら困りますけど)。 ちなみにこの作品を自分で読んだ作者の感想 『俺って疲れてんのかな?』 |